[地方の建築学生に届け]効果的にインプットするための体幹と素振りの関係

建築学生ならずとも、大学に入るとインプットやアウトプットの重要性を強調されると思います。

何をどのように学ぶのか、というのは非常に難しい問題で、ヘタをするとせっかく覚えた知識がなんの役にも立たなかったり、全く身に付かないなんてこともあり得ます。

大学受験と違い、大学での学びは社会に出てからの長い人生を生き抜く術を獲得する、そのための4年間ですので、何を学びどんな人間になるのか、自覚的になることが重要です。

 

近年、最新の建築情報がさまざまな媒体で溢れています。

老舗の紙媒体だけでなく、WEBの記事も増えてきていますし、特に大都市圏に住む学生にとっては毎週のようにイベント情報や展覧会情報などが更新されていると思います。

以前はあまり共有されてこなかった建築家による大学の講義が、一般向けにも参加者募集がかけられるようになり、SNSの広まりによって加速度的に建築に関する情報は増えているように感じます。

その一方で地方にいる学生は、「こんな面白いイベント・講演会に行ってきた」という情報だけを見て、自分がそこにアクセスできないことに焦りを感じることでしょう。

いま自分が学生だったら相当焦燥感のある学生生活だったろうな、と思ったので、氾濫する情報とどう向き合えばいいか、書いておこうと思います。ご参考にしてくださいな。

 

無闇矢鱈とイベントに参加する前に

日本の建築界をリードする最新の取り組み、それを知ることはとても重要です。

ただし、例えばある建築家のレクチャーがあるとして、そこから何をどれだけ学べるのかはあなた次第。

前提としてわかっておかなくてはいけないのは、その建築家はその考え方に自らたどり着いたのであり、その方法はあなたにも同じように開かれているということ。

それをわかっていないと、レクチャーの中で自分の気づきになるような話が出てきたか、今取り組んでいる課題に参考になったかでしか自分へのフィードバックになりません。

無料のレクチャーであっても、1時間の講演と片道30分の道程であれば2時間分の投資と考えて臨みましょう。

話が面白くなかった、それならこなければよかった、とならないためにはまず、体幹を鍛える必要があるのです。

 

インプットのための体幹とは?

単独で講演会に登壇するような建築家を、一流の野球選手だとしましょう。

試合におけるパフォーマンスがその建築家の作品だとして、良いパフォーマンスをするためにはそこに至る過程が重要です。

将来自分も同じようにプレーしたいと思うのであれば、スーパープレー集を観たり選手のインタビューを読むだけでなく、その選手がどのようにして今のポジションを獲得したかに意識を向けましょう。

するとどのようなポジション、プレースタイルの選手であっても必ずもっている強みが見えてきます。

それが体幹、つまり建築史への理解と一般教養ですね。

 

おそらく20年ほど前までは、その体幹にあたる部分は学生であっても身につけていて当然だったのだと思います。

そのためその時代に教育を受けた建築家は、そうした前提を公然の事実としてすっ飛ばし、自らが何を立脚点にしているのかをわざわざ語らない。

聞いている方としては時々難しい言葉が出てきても、一応は全体の話や過去の実作については理解できるので、わかったつもりになってしまうんですね。

話す側からしたら一々歴史の話から始めていたら自身の考えにたどり着かないし、ただただ建築家の知性に触れたい一般の聴講者もいると考えると、そのような語りになるのは当然です。

ただ、将来建築の道に進みたいと考える人にとっては、それではまずいだろうと思うわけです。

 

日々のインプットはバッティング練習のようなもの。

自分がもってる知識をフル活用して、流れてきた新しい情報と突き合わせる。

体幹ができていないと、いくら反復してもその場限りの成果しか出ません。

f:id:ronro_bonapetit:20191207184205p:image

バッティング練習で確実にミートできるようになって初めて、練習試合(ここでは設計演習に例えられるでしょうか)で実力を確認することができるようになります。

そのためにはまず体幹を鍛えることは前提として、バッティングの型を身に付ける素振りが必要になります。

これがインプットの効果を高めるアウトプットです。

 

体幹を鍛えるための参考文献はすでに出揃っていると言っていいでしょう。

大学や研究室によっては必読本をリストにまとめているところもありますし、授業で使う教科書に載っている参考図書から芋づる式に繋がっていきます。

一方でそれをもとに自分が何を考えたのか、建築のどんな側面を自分は探究したいのか、これはあなた自身が言語化する必要があります。

そのためのアウトプットです。

人に見せなくたって良いのです。

目的は建築の歴史を自分事にすることです。

それができれば、日々新しく触れる情報に対し自分なりの考えをもって向き合うことができますし、どんな建築家の話であっても、「あの人はああやって歴史と向き合っているのだな」と理解することができるようになります。

 

ただ、そうはいってもいきなり体幹を鍛えましょうというのは面白くない。

古い本は難解で重厚長大だったりしますからね。

そこでオススメなのが、体幹レーニングに導入するために、スーパープレーを観ること。

自分の琴線に触れたところから掘り下げていけば、興味をもって歴史の探求もできるのではないでしょうか。

そうした好奇心の活用ができるようになれば、スター建築家を目指さずとも、どのような仕事にも役立つ成長の方法を身に付けることができます。

ぜひ参考にしてみてください。

f:id:ronro_bonapetit:20191207190410p:image