ギアチェンジのために決意表明するということ

こんにちは。

 

ここしばらく、noteの更新をストップしていました。

理由はいろいろあるんですが、近々で1つ記事を書こうと思い、その決意表明を記しておきます。

 

書きたいテーマもいろいろあるし、すでに取材済みであとは原稿化するだけというものもあります。

ただ、COVID-19の影響で普段の生活が大きく変わり、その器となる建築について語るのであれば、よくよく検証しないといけないなーという思いが強くありました。

刻々と状況が変わっていくなかで、今日考えていたことが明日には前提が崩れている、といった可能性も十分にある、不確定な日常が続いていました。

 

アフターコロナ、ウィズコロナといった言葉をつかって、この先の生活に対する提言や未来予測といったものも数多く目にしましたが、そういったものにリアクションするのも違うなと。

 

5月末になって緊急事態宣言が解除され、どのようなケースが感染の危険性が高いのかも共有され、都心部での人びとのふるまいにも注意深さが見て取れます。

まだまだ余談を許さない状況ではあるものの、建築業界に携わる人たちがSNS上で発言する内容も、現実の状況に即した実効性の高いものに変わってきたように感じます。

 

というわけで僕自身も状況を静観しているだけでなく、いまの時点でできる発信を再開することにしました。

なにより、そのメッセージをくれたのが、COVID-19の感染が広まる前に取材させていただいたある設計事務所なんですよね。

このような状況下でも変わらずに事業を継続しているどころか、いま必要なアクションを起こし、しかもそれをだれもが共有できるように発信されている。

きちんと応えなければと強く感じます。

 

取材当初に考えていた構成とは大きく変更を余儀なくされるとは思いますが、実のある記事にまとめ公開できるようがんばります。

そのための決意表明でした。現場からは以上です。

拝啓、コロナ禍に不安を抱えている建築学生だった僕へ

こんにちは。

新型コロナウイルス禍のなか、いかがお過ごしでしょうか。

 

刻々と状況が変化するなかで、毎日のように「アフターコロナ」や「withコロナ」時代の生活に対する提言や未来予測を目にするようになりました。

5月4日には厚生労働省より「新しい生活様式」の実践例が提示され、SNS上でも大きな反発を生んでいます。

 

特に社会人経験のない学生さんのなかには、講義やゼミも不十分な状態でネット上の過激な言説に触れ、不安に感じている方も多いのではないかと思います。

僕自身、東日本大震災と福島原発事故により日本中が大混乱となった時期に学生生活を送り、大きな精神的負荷を感じていた時期がありました。

当時のことを思い返しながら、もしいま自分が建築学生だとしたら何を意識して日々を過ごすと良いか、まとめておこうと思います。

 

○覚書として

東日本大震災のときも、現在のコロナ禍も、いずれも人々の生活に携わる職業人であればなにかしらのアクションなり提言なりをしたくなる時期なのだと思います。

史上かつてないほどの非常事態を受け、その前後の人々の生活が大きく変わるのは当然のこと。

建築学生であれば、その未来の生活を見据えていま取るべき対策を講じたいと思うのも自然のことと思います。

東日本大震災時も、数多くの建築家が復興事業や津波の危機と共存するための建築や都市のあり方に対して、さまざまな提言を行いました。

しかしながらそうした提言が効力をもち、実際の建築物や人々の行動に影響があったのはごく一部に限られたものだったと思います。

復興バブルと言われるほど建設業界が潤ったのと対称的に、建築を取り巻く言説はその後の2~3年間、無力感を伴った状況に陥りました。

ふたたび日本の建築界が元気を取り戻したとき注目を集めたのは、事態を客観視して大きなストーリーを描くのではなく、混沌とした状況に飛び込んで愚直にできることを実践していた人たちにほかなりません。

 

震災時といまの状況とで大きく異なるのは、前者ではそれまで当たり前に享受していた基盤が一瞬で揺らいでしまったのに対し、後者においては少しずつ進行していた新しい生活に対する変化が、急速に加速する機会を得たという点でしょうか。

キャッシュレス決済やサブスクリプション型のコンテンツ消費、オンラインミーティングを駆使した在宅勤務など、この時期急速に伸びているのは少しずつ社会に浸透しはじめていた新しいサービスです。

こうしたサービスが更に普及し、すべての経済活動を支えるインフラとして機能するかのような前提のうえで語られるビジョンも多く見受けられます。

ただ、忘れてはならないのは、現在そうしたサービスを駆使してこの状況に対応できている産業は市場全体のほんの一部であり、上述のような前提のうえで未来を語る側の人たちは、コロナの影響を受けずにいままで通りの活動ができているごく限られた人たちであるという事実です。

 

○不確実で過激な未来予測に振り回されない

メディア上では日々さまざまな分野の専門家による未来予測の記事が散見されます。

そのなかには数カ月後あるいは数年後に振り返って「正しい」記事だったことが証明されるものもあるかもしれません。

ただ、あくまでもそれは結果的にそうだったというものに過ぎないこと、ほんの少しの要因の変化によって大きく異る結果に終着する可能性も十分ありえるという前提で読まれるべきものと思います。

ほんの数ヶ月前まで、日本政府がオリンピックを予定通り開催すると宣言していたことを忘れてはなりません。

 

今日現在の実数値や人々の行動を観察する限りにおいて、限りなく確からしい予測を立てることはできても、翌日にはその前提が覆る可能性が十分にあるわけです。

さらに多くの目に触れるよう加工された情報は、それなりのバイアスがかかっていると留意しておくべきでしょう。

ひとつひとつの情報に一喜一憂することなく、適度な距離感をもってそれらと接する態度を身につけましょう。

 

○信頼できる情報発信者を見分ける

これだけ情報が溢れてくると、賢明な発信者ほど注意深くシェアするべき情報を選定するようになります。

誤った情報の拡散や根拠のない情報を自らの利益に結びつくようなかたちで拡大解釈して発信するような人とは距離を置きましょう。

一方で、確かなエビデンスを元に情報発信や流言する情報の検証をしている信頼できる発信者を見つけることは、その後の長期にわたって有益な情報を提供してくれる良き資源になりえます。

このような状況下だからこそ浮き彫りにされるリテラシーの精度を最大限に活用して、今後のあなたに役に立つ情報源をストックしていきましょう。

 

○観察者としてのスキルを磨く

あなたは社会を構成する一員であると同時に、その社会に何かしらの働きかけを行うことで対価を得、生活する人でもあるわけです。

したがってどのような状況で人々がどのような反応を示すのか、客観的に観察し自らの行動に反映させるスキルは身につけておくとこの先のさまざまな場において役にたちます。

実地でのフィールドワークが難しい状況ではありますが、この環境のなかで活用できるリソースを十分に活かし、良き観察者になる方法を探りましょう。

実際の観察方法については、社会学系の考え方が参考になると思います。

また同様に歴史に学ぶことも重要です。

世界規模でのパンデミックは、今回に限らず人類史上幾度も繰り返されてきた現象です。

その前後でどのように社会が変わりそして変わらなかったのかを知ることは、さまざまな状況において判断基準を強化してくれることでしょう。

 

○そのほかできること

この先社会がどう変化しようが、普遍的に役立つスキルの向上に投資しましょう。

具体的なスキルはあなた自身が決定すべきものですが、幸いなことにさまざまな企業が「おうち時間」の充実のためにと各種サービスの無料・値下げキャンペーンを実施しています。

毎日ひとつずつ試してみるも良し、これを機に新しいことにチャレンジしてみるのも良いでしょう。

人と会う機会が減ることで、気持ちが落ち込んでしまうと何をするにも効率が悪くなってしまいます。

何かひとつでも没頭できることを見つけて心の健康を保ちつつ、毎日少しずつでも前進できているという実感をもてる生活を送りましょう。

不安で何も手につかない、それによってさらに不安が増していく悪循環だけは避けるようにお願いします。

日々の積み重ねだけが、自らを強くしてくれるのですから。

建築見学ツアーを開催しました

建築ライターとして、国内外で数々の名作と呼ばれる建築を訪ね歩いて来ました。

その経験をいかし、見学ツアーを開催したのでまとめておきます。

 

①開催概要

今回はbosyuというサービスを使って、Twitterにて参加者を募集しました。

参加費は1人1000円で設定し現在までに2回開催、3名の方に参加いただきました。

3月末~4月にかけて、あと2回の実施を予定しています。

建築に興味はあるけれど、どのような視点で見ればよいかわからない、といった方を対象に公募し、1週間で6名の方からのご応募がありました。

お会いしたことのない方ばかりではありますが、事前にメッセージでのやり取りができるので特に不安等はなかったです。

予め建築に対する知識の程度や好みの建築等についてヒアリングを実施、こちらから見学物件をご提案して調整というかたちで進めました。

 

②実施内容

第1回は表参道~原宿に並ぶ商業建築を複数、第2回は渋谷にある白井晟一設計の松濤美術館を見学。

また番外編として元々の知人の方と有楽町~銀座にかけてのツアーも行いました。

事前のヒアリングを元に、建築の歴史や見方について簡単なレクチャー(1時間程度)+実際におすすめ物件をご案内(2時間弱)しました。

建築史に関しては、20世紀初頭に起こった「近代建築運動」とその前後100年の潮流を把握しておくとそれ以前の動きについても理解しやすいと考え、導入としてご説明。

また東京の土地利用の歴史についてや、第1回では商業建築の特徴や、第2回では設計者である白井晟一についても簡単にお話しました。

 

見学に際しては、それぞれの建築の見所や、個々のデザインについてどのような意図で設計されているものか、実際の空間体験の順に沿って解説していきました。

少人数での開催のため、都度ご質問に答えつつ、参加者の理解度も把握しながら進められた点がよかったかなと思います。

参加者の方からも、建築や街を見る目が養われたと好評いただいています。

公にできない不確かな推測も、断りを入れたうえで参加者と共有することで、一緒に建築家の考えを推理するような楽しさも味わえました。

 

③目的と背景

今回このようなツアーを実施したのは、個人的に自分がどのようにして建築を楽しんでいるのか、改めて考えてみたいという動機からです。

僕自身は建築の面白さを広く伝えていきたいという思いで執筆活動等を行っているので、僕なりの楽しみ方を一度体系的にまとめてみようと思っています。

そのために全く面識のない方に、自分自身の着眼点を説明してみようと考えました。

結果、建築を鑑賞している時の自分を客観視することができ、建築を楽しむ方法を言語化するうえで役に立ったと感じています。

 

また参加者の方からもご指摘をいただいた通り、大学の授業でも設計のプロセスや建築の歴史は学んでも、実際に建築をどのように見ると良いのかについてはあまり言及されません。

これはそもそも建築自体が鑑賞するために建てられるわけではないこと、また西洋絵画などと異なり決まった見方がなく、人それぞれの見方が可能であることが原因としてあると思います。

もちろん将来建築設計を自分の仕事にしていこうという人にとってはそれで構わないと思うのですが、趣味として建築を楽しみたいという人にとっては少し不案内かなと。

そのためあくまで入り口として僕のような人間が、自分なりの見方をお伝えすることにはそれなりに意義があるように感じました。

 

④反省と今後

唯一の課題は、同じやり方では持続できないという点です。そのため現在は一旦新規の募集をストップしています。

事前のヒアリングや調整、参加者に合わせたレクチャー準備などを鑑みると、参加費1000円では継続ができません。

また1度の参加者をあまり多くしてしまうと、丁寧な解説が難しくなってしまいます。

今回はまずは実験と自身の学びも含めての取り組みでしたが、個人的に新たな発見もあり、参加いただいた方も満足してくださった実感があるので継続できる方法を考えたいと思っています。

 

現状は下記のような方法を検討しています。

建築の見学そのものは、趣味として定期的に実施していることです。

そのため今回のように過去に訪れたことのあるおすすめの建築を事前知識も踏まえて案内する形式ではなく、僕自身が初めて訪れる建築を見学する際に同行していただくのが1案。

もう1案が、価格設定の改定です。

 

前者の場合、事前レクチャー等は行わず見学時にお話できる範囲でご説明というかたちになるため、リピーターの方限定が無難かなと。

価格については、1000円ですら高いという人もいるでしょうし、3000円でも安いと感じる人もいると思います。

僕から提供できるものと求められているもの、そこがうまくマッチングする方法や仕組みを考えたいところです。

 

「こういうやり方だったら参加してみたい」といったご意見などありましたら、Twitterにお寄せいただけますと喜びます。

それではまた。

個人での情報発信をブーストさせる、他者との協働のススメ

個人でnoteを書きはじめてちょうど2年、合計55記事を書いてきました。

フォロワー数は3万7千人を越えたので、投稿数を踏まえると比較的多い数字だと思います。

 

会社員の仕事とは別に、わざわざ個人で発信するうえで、意識してきたことがいくつかあります。

多くは僕自身が編集者を本職としているために設定しているもので、編集者でない人にとっては無関係のものも含まれています。

ですがそのうちのひとつ、自分以外の「他者」と協働することによるメリットが、目的によらず発信する人にとって役立つ考え方かなと感じたのでシェアします。

 

55の記事のうち、およそ10記事程度は僕個人で完結することができないものでした。

僕の方から「取材させてほしい」と依頼したもの、話をしているうちに「これnoteに書いてもいいですか?」と相談したもの、あるいは「今度こんなイベントを予定しているので取材してもらえませんか?」とお問い合わせいただいたもの。

いろんなバリエーションで「他者」との協働による記事を書いてきました。

いずれも会社員として付き合いのある方ではなく、noteでの活動をきっかけに知り合った方々です。

 

個人での発信の場に、なぜわざわざ他者を介入させるのか。

自分が好きなことを好きなように書くだけで十分じゃないか、と思われる方もいるかもしれません。

確かに事前の企画相談から日程調整、執筆後の確認依頼など、ひとりで完結する限りは必要のない手間や時間が発生するのは間違いないです。

慣れていないと記述内容や文章表現に対するやり取りで、100%納得のいくものに仕上げることができない可能性ももちろんあります。

ただ、それを補って余りあるメリットがいくつもあるので、情報発信を頑張っている方にお伝えしておきたいと思います。

 

メリット① 自分のアウトプットを客観視できる

自己完結型のアウトプットの場合、どれだけ客観的に捉えようと思っても限界があります。

ほかの人に感想をもらうとしても、自分が書いたものに対するフィードバックを自分が受けるわけなので、その感想に対して主観で向き合うことになります。

記事の文章表現に対するフィードバックはイコール自分の文章表現に対するフィードバックであり、記事の根底にある思想や主義主張に対するフィードバックは、そのまま自分へのフィードバックです。

 

一方、アウトプットに他者を介入させるとどうなるか。

たとえばだれかにインタビューをさせてもらった記事を書くとします。

この場合記事はそのだれかと協働して制作するものになります。

記事のどの部分にどちらが責任をもつのかは、制作プロセスによって変わってきます。

結果的に、記事に対するフィードバックも、すべてが自分へのフィードバックではなくなるということです。

 

発言者(インタビュイー)の話す「内容」や「考え方」に対するリアクションは、発信者(あなた=インタビュアー)に対するリアクションではありません。

あくまで発言者へのリアクションになります。

一方で、「この人にインタビューするならこういうことを聞けよ」とか、「このテーマだったらあの人に聞くべきじゃない?」とか「内容がハイコンテクスト過ぎて頭に入ってこない」みたいなフィードバックは発信者に対するフィードバックです。

前者のフィードバックについては、あなたがアウトプットした内容に対する客観的なフィードバックを獲得できていると考えることができます。

読者からのフィードバックを客観視できるとなにが良いのか? についてはまたの機会にまとめます。

 

これは簡単なことのようでいて、個人でのアウトプットにおいては意識しないとなかなか得難い経験です。

基本的に自分のアウトプットは自分の責任で管理するものであって、本来いかなるフィードバックもむき出しの自分で受け止めるべきものですからね。

 

メリット② 別文脈での議論を知れる

至極当たり前の話です。

だれかを取材して記事を書いた場合、発信者ではなく発言者に興味がある人が読んでくれ、その人の活動がどのような人にどのように見られているのかを知ることができます。

基本的にだれかを取材する場合、あなた自身はその人に興味があるのであって、その人に興味がある人に興味があるわけではないと思います。

取材するにあたって、当然その人自身の活動や過去の発言などはチェックするとして、ではそれがどのように受容されているのかまではなかなかうかがい知れません。

それを記事にすることにより、自分が面白い、取り上げたいと思った人の活動が、その分野に興味のある人や専門家からどのように受け止められているのかを知ることができる。

 

これをメリットと感じるかどうかは人それぞれかもしれませんね。

本気出せば自分で調べられることではあります。

このメリットを有効に活用するためには、自分が興味をもってはいるが、全然異なる取り組みをしている人を対象にするのがベターです。

 

メリット③ ひとりではリーチできない読者に届けられる

これも言わずもがなですね。

②と被る内容でもあります。

極論、自分の10倍影響力のある人との協働で記事を制作して、その人がシェアしてくれれば普段の10倍読まれる確率も高まるわけです。

そしてそれはあなた自身の専門領域と遠ければ遠いほど、普段とは異なる読者層に読まれることでもあります。

 

とはいえたとえば建築について書いている僕が、スマホゲームアプリ開発をしている人にアイドルについてインタビューしてもなんのこっちゃわからない記事になってしまいますね。

自分の専門性と相手の専門性の交わるところや掛け合わせによる面白さが生まれるように考える必要は当然あります。

 

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そんなことをまとめようと思ったきっかけが⇩の記事です。

Twitterで感想くれた方も多くいたので、記事内に出てくるキーワード等で検索してみると立体的な議論を知れるかもです。

 

note.com

いつも心に企画書を

自分で発信するようようになったことで、日々の生活に対する意識が大きく変化しました。

そのなかで、思ってもみなかったメリットに気づいたので書いておこうと思います。

 

ズバリ、人と会うときはそれがだれであろうと胸の内に企画書を温めておく、という考え方です。

多分、自分は発信に興味などない、という人にも役に立つマインドかなと思います。

 

社会人になると、人との付き合い方がそれ以前とは一気に変貌します。

それまでは所属しているコミュニティをベースにした交友関係や、なにかのタイミングで知り合った「気が合う人」との関係性など、顔も人柄もお互いわかっていて初めて成立する関係性が中心だと思います。

それが社会に出ると、自分を表す属性(所属団体や職歴、趣味など)が人柄よりも先に立つコミュニケーションの場が増えていきます。

極端に言えば、「この人は自分と仕事上の利害関係が発生しうる人か、するとしたらどのようなケースか」といった情報が、その人自体とは別途ストックされていく。

で、おそらくそのストックをより生かしやすいかたちにするために、「(仕事につながるかどうかはわからないけど)今度ご飯でも行きましょう」という社交辞令が頻繁に交わされるわけです。

 

noteを書くようになって、僕はこの社交辞令を積極的に掴むようにしています。

僕の記事やツイート等に反応してくださり、取材というわけでなくても「一度お会いしましょう」となることも多いです。

そしてその「一度お会いしましょう」を実りあるものにするために、「万が一この人のインタビュー記事を書くとしたら、どのような切り口が良さそうか」を事前に考えておくわけですね。

 

お友達の輪を広げたいならともかく、潜在的なビジネスのために「一度ご飯」にというのは、一々やっているとかなり消耗します。

かといってすべてスルーしてしまうのも、チャンスを逃しているかもしれない。

であれば、ひとつひとつの機会をコンテンツに昇華してしまうことで、つながりを強固にしつつ、自分自身の投資として捉えてみればいいじゃないか、という提案です。

 

基本的に属性がわかっていて、なおかつ「会ってみてもいいか」と思える人と会うのであれば、(自分が発信者であれば)コンテンツにし得る話ができるはずです。

自分が発信している内容の軸と、その人の属性との接点を踏まえて、ぼんやりと記事の内容を想定しておく。

大体4つくらい骨格となる質問事項を考えておけば、1時間やそこらはあっという間に過ぎていきます。

あまり親しくない人と話すのが苦手、という人にもおすすめなのでぜひ。

また学生時代の友人など、年に数回程度定期的に顔を合わせるような関係性の相手とも、試してみると面白いです。

お互い大きな変化もないし、マンネリ化しがちだなーと感じてきたらぜひ検討してみてください。

 

そんなことを考えていたら、とある建築学生の方からお声がけいただき、お会いすることとなりました。

なんと事前に企画書が送られてきて「この件についてお話したいです」とご提案をいただき、タイムリーな出来事に驚いたのでまとめてみました。

特に学生の方で、「この人の話を聞いてみたい」という人がいる場合は、接触機会を逃さないように「万が一」を想定して考えておくと良いかもしれませんね。

それだけでも良いトレーニングになると思いますよ。

キュレーションされた情報のインプットで満足していないか?~be a diggerのススメ~

自分自身への戒めの協賛でお送りします。

もうタイトルの通り、なのでこれ以上書くこともないのですが簡単に。

 

いまこのブログを読んでいるあなたも、そして僕自身も、現代日本で生活している以上、無限の情報に覆い尽くされています。

そしてよほど自覚的でなければ、それらのほとんどは「だれか」あるいは「なにか」によってキュレートされた情報でしょう。

このブログ自体、SNSでタイムラインに流れてきたからクリックしてみた、という方はあなた自身のタイムラインによってキュレートされています。

この場合のキュレーターはあなた自身か、あるいはツールとして用いているSNSのプラットフォームですね。

 

人があるコンテンツに触れる時、ほとんどの場合なにかしらのキュレーションの力によってそのコンテンツが選択肢のひとつとして目の前に立ち現れてきます。

それを見るか見ないかはあなた自身が選択しているようであったとしても。

本を読むときも、だれかがおすすめしていたり、なにかの賞を獲っていたり、好きな著者や出版社によるものであったり、あるいは本屋や図書館だってそれ自体がひとつのキュレーターとして作用しています。

 

言うまでもなく、そうした情報から自分の興味のあるコンテンツを消費するだけでも、可処分時間を食いつぶすには十分すぎる情報があふれています。

それで良いじゃないか、という方ももちろんいらっしゃるでしょう。

自分の興味関心を満たしてくれる雑誌の定期購読やSNSでのフォロイーの最適化を図っていけば、いつでも満足する情報にアクセスできるでしょう、と。

 

ただ、そうした情報との向き合い方、インプットの方法にあぐらをかいていると危険だと思っていて。

継続していくと物事を見るための軸は形成されていくのですが、なにかを探求する力はあまり養われないのではないかと思っています。

そして、趣味でも仕事でも、楽しく充実させるためには後者の探求力がとても重要なのではないか、と。

なぜかというと、自ら掘り起こしアクセスした情報は、キュレーションされて摂取されたそれと異なり、なにかを知ろうとした動機との関係が生まれて自分ごと化されていくから。

その時点で、情報そのものはオリジナルなものでなくとも、あなたとの関係性はユニークなものになっているはず。

それを積み重ねていくことで、あなた自身の視点や思考がオリジナルなものになっていくのだと思います。

たとえば趣味が料理をつくることだとして、探求の果てにオリジナル料理を生み出してしまったら、初めて出会った人との雑談にも花が咲きそうですよね?

 

そんなわけで、編集者たるもの仕事以外の日常もdiggerであろうと、ふと思ったので備忘録としてまとめておきました。

それではまた!

ビジネスライクな設計課題への取り組み~プロジェクトマネジメント編①アウトソーシング~

建築学生のみなさん、こんにちは。

学部4年生の方は、卒業制作のラストスパートという状況でしょうか。

 

卒業制作で成果を上げるためには、アイディアの強度や設計の精度のほか、どれだけアウトプットのクオリティを高められるかも重要になってきます。

そのためにプロジェクトマネジメントの思考を少しでも知っていると、有利に制作を進められるので、本ブログで何回かにわたって書いてみたいと思います。

初回はその前段となる、人員確保のお話し。

 

なんのために、なにを手伝ってもらうのか?

先輩の設計を後輩が手伝う。

建築学科においては当たり前の光景ですが、そもそもなぜお手伝いをお願いする必要があるのでしょうか?

 

多くの場合、模型をつくる作業を分担して作業スピードを上げる、パースの描き込みなどを分担してアウトプットの質を高める、といった目的によるものと思います。

ビジネスの現場ではこのように必要な業務の一部を他者に委託することを、アウトソーシングと呼びます。

卒業設計をひとつのプロジェクトと考えると、後輩にお手伝いを頼むのも、アウトソーシングといえますね。

 

ビジネスにおいてアウトソーシングを活用するメリットは、

①専門的な業務を外注することで、高品質短納期を実現できる

②単純な業務を外注することで、自社要員を重要業務に集中できる

などが大きなところでしょうか。

①は単価も高く自社で賄うことが難しい業務を、②は自社でも実施可能な業務をできるだけ単価を抑えて依頼するケースが多いです。

 

卒業設計にあてはめてみましょう。

基本的に年次の低い学生に作業をお願いするのであれば、スピード・クオリティともに自ら手を動かした方が高いパフォーマンスを発揮できると考えられます。

それでも後輩に手伝いを頼むのは、②を目的としているから。

1人で模型も図面も全部やるには1週間必要なところ、できるだけ人数を集めて作業を分担してもらうことで作業日数を2日に収める。

そうすると5日間は案をブラッシュアップしたり、ディテールまで設計を詰めるなど、自分にしかできない作業に充てることができるわけですね。

 

(稀に①のパターン、たとえば自分では到底描けないようなドローイングを代わりに書いてもらうとか、レンダリングのためのモデリングをお願いするといったケースもあると思いますが、特殊なケースなためここでは触れません)

 

さて後輩を動員する目的がわかったところで、ではどのようにして確保するか。

研究室の上下関係等で自動的に必要人数を集められる仕組みになっている大学などはともかく、後輩側にも選ぶ権利がある場合、できるだけデキる後輩にお願いしたいとなるとそれなりの工夫が必要です。

また個人的には、以下の記事で書いた通り、後輩側からすると先輩の手伝いは控え、より自分に必要な時間の使い方を考えるべきだと思っています。

www.ronro.work

 

それでも後輩に手伝ってもらいたい。

ならばシンプルに、「この人の卒業制作を手伝いたい」と思わせる方法を考えるのが最適でしょう。

金銭や人柄を武器に人員集めを優位に進めようとする人もいますが、まったくワクワクしないものを手伝うのは後輩にとってもストレスになります。

お互い気持ちよく、お互いの役割を全うできるようにするために、自身の案をできるだけ強度のあるものに高めることを第一に考えましょう。

そうすれば自ずと優秀な人も集まってきますし、高いモチベーションで取り組んでもらえれば想定以上のパフォーマンスを発揮してくれる可能性もあります。

 

アウトプットのクオリティ次第では、自分の実力以上の評価を獲得できるのが後輩も巻き込んで取り組む卒業設計のメリットです。

ラストスパート、頑張ってください。