建築見学ツアーを開催しました

建築ライターとして、国内外で数々の名作と呼ばれる建築を訪ね歩いて来ました。

その経験をいかし、見学ツアーを開催したのでまとめておきます。

 

①開催概要

今回はbosyuというサービスを使って、Twitterにて参加者を募集しました。

参加費は1人1000円で設定し現在までに2回開催、3名の方に参加いただきました。

3月末~4月にかけて、あと2回の実施を予定しています。

建築に興味はあるけれど、どのような視点で見ればよいかわからない、といった方を対象に公募し、1週間で6名の方からのご応募がありました。

お会いしたことのない方ばかりではありますが、事前にメッセージでのやり取りができるので特に不安等はなかったです。

予め建築に対する知識の程度や好みの建築等についてヒアリングを実施、こちらから見学物件をご提案して調整というかたちで進めました。

 

②実施内容

第1回は表参道~原宿に並ぶ商業建築を複数、第2回は渋谷にある白井晟一設計の松濤美術館を見学。

また番外編として元々の知人の方と有楽町~銀座にかけてのツアーも行いました。

事前のヒアリングを元に、建築の歴史や見方について簡単なレクチャー(1時間程度)+実際におすすめ物件をご案内(2時間弱)しました。

建築史に関しては、20世紀初頭に起こった「近代建築運動」とその前後100年の潮流を把握しておくとそれ以前の動きについても理解しやすいと考え、導入としてご説明。

また東京の土地利用の歴史についてや、第1回では商業建築の特徴や、第2回では設計者である白井晟一についても簡単にお話しました。

 

見学に際しては、それぞれの建築の見所や、個々のデザインについてどのような意図で設計されているものか、実際の空間体験の順に沿って解説していきました。

少人数での開催のため、都度ご質問に答えつつ、参加者の理解度も把握しながら進められた点がよかったかなと思います。

参加者の方からも、建築や街を見る目が養われたと好評いただいています。

公にできない不確かな推測も、断りを入れたうえで参加者と共有することで、一緒に建築家の考えを推理するような楽しさも味わえました。

 

③目的と背景

今回このようなツアーを実施したのは、個人的に自分がどのようにして建築を楽しんでいるのか、改めて考えてみたいという動機からです。

僕自身は建築の面白さを広く伝えていきたいという思いで執筆活動等を行っているので、僕なりの楽しみ方を一度体系的にまとめてみようと思っています。

そのために全く面識のない方に、自分自身の着眼点を説明してみようと考えました。

結果、建築を鑑賞している時の自分を客観視することができ、建築を楽しむ方法を言語化するうえで役に立ったと感じています。

 

また参加者の方からもご指摘をいただいた通り、大学の授業でも設計のプロセスや建築の歴史は学んでも、実際に建築をどのように見ると良いのかについてはあまり言及されません。

これはそもそも建築自体が鑑賞するために建てられるわけではないこと、また西洋絵画などと異なり決まった見方がなく、人それぞれの見方が可能であることが原因としてあると思います。

もちろん将来建築設計を自分の仕事にしていこうという人にとってはそれで構わないと思うのですが、趣味として建築を楽しみたいという人にとっては少し不案内かなと。

そのためあくまで入り口として僕のような人間が、自分なりの見方をお伝えすることにはそれなりに意義があるように感じました。

 

④反省と今後

唯一の課題は、同じやり方では持続できないという点です。そのため現在は一旦新規の募集をストップしています。

事前のヒアリングや調整、参加者に合わせたレクチャー準備などを鑑みると、参加費1000円では継続ができません。

また1度の参加者をあまり多くしてしまうと、丁寧な解説が難しくなってしまいます。

今回はまずは実験と自身の学びも含めての取り組みでしたが、個人的に新たな発見もあり、参加いただいた方も満足してくださった実感があるので継続できる方法を考えたいと思っています。

 

現状は下記のような方法を検討しています。

建築の見学そのものは、趣味として定期的に実施していることです。

そのため今回のように過去に訪れたことのあるおすすめの建築を事前知識も踏まえて案内する形式ではなく、僕自身が初めて訪れる建築を見学する際に同行していただくのが1案。

もう1案が、価格設定の改定です。

 

前者の場合、事前レクチャー等は行わず見学時にお話できる範囲でご説明というかたちになるため、リピーターの方限定が無難かなと。

価格については、1000円ですら高いという人もいるでしょうし、3000円でも安いと感じる人もいると思います。

僕から提供できるものと求められているもの、そこがうまくマッチングする方法や仕組みを考えたいところです。

 

「こういうやり方だったら参加してみたい」といったご意見などありましたら、Twitterにお寄せいただけますと喜びます。

それではまた。