専門性を生かしてアウトプットを継続する簡単な方法

継続は力なり。

その言葉の意味を、特にここ最近は文章を書くスピードに対して感じるようになりました。

ライターとして仕事を請けるようになったころ、取材後構成を検討して、「よしこの感じでいこう」と決めてから実際に書き上げるまで、3,000字の原稿で最低でも2日間は必要でした。

いまでは3~4時間あればどうにか形になるかな、というところまで書くスピードが上がってきています。

また当初は取材後、1週間以内に原稿にしないと熱量が下がってしまっていましたが、次第にその期間も延びていっているのを感じます。

ちなみに当ブログの記事は、毎回30分以内を目標に書くようにしています。

 

これはひとえにアウトプットを継続してきたからだと、思います。

取材を経て書くテーマを決め、構成を考える、それから不足情報を補いつつ執筆する。

その繰り返しにより1つの記事にかかるリソースを段々と減らし、今後の企画について検討する時間に回せるようになってきました。

1ヶ月の間で執筆する本数も、徐々に増やせるようになってきています。

 

本ブログではアウトプットを継続していくことのメリットを、プロのライターを目指す人だけでなくより汎用性のあるものとして書いてきました。

今回は専門ジャンルをもつ人が、アウトプットを継続するために役立つ考え方についてまとめておきます。

 

ネタは専門外のコンテンツに触れる時に考える

見出しそのままです。

僕自身は建築を専門ジャンルとしており、執筆テーマも建築についてです。

建築分野の情報をさらっている時に、建築について書くネタを考えていると、どうしても「これについては知識不足だな」とか「これはすでに○○さんが書いていたな」と、自分が書かなくても良い理由を探してしまいます。

 

そうではなく、建築とは直接的に関係のない情報に触れている時に、そこでの気づきから自分の専門分野に引きつけて書くことができないかを考えてみる。

あるニュースを見る時に、そこからなにかネタにならないかと考えていくと、そのニュースが問題になっている背景に興味が向きます。

そうやって掘っていくと、「これは建築でいえば○○と似た構造だな」とか、「こういう問題意識があの建築家の活動につながっているのかな」とか、自分の専門分野での知識とつながっていくわけです。

この時点で、自分なりの仮説をかたちにしたいというモチベーションが高まっていることでしょう。

そうなると、アウトプットのために必要な専門分野のリサーチも苦にならなくなっていきます。

 

最終的なアウトプットはどのようなかたちになっても構わないと思います。

重要なのは、常日頃から専門分野以外の情報に目を光らせていくこと。

建築の歴史が一通り頭に入っている人であれば、人類史に目を向けると一気に知的好奇心が開いていくと思いますよ。

せっかくなので、僕に世界史のダイナミズムを教えてくれた書籍をご紹介しておきます。

講談社学術文庫の「興亡の世界史」シリーズです。

世界史上に起こったさまざまな出来事を「事件」としてフィーチャーするのではなく、その背景にどのような時代の空気感があったのか、人びとの生活やその時代を支配していたイデオロギーから、連鎖的な人びとの動きの発露としての世界史を解き明かしていこうというシリーズです。

特に「近代」という時代がどのように用意されたのか、そしてなぜ近代がヨーロッパ中心の時代になったのかを探る本書は、建築の近代化にもつながっていくスリリングな一冊です。

僕自身もいずれこのあたりの話を手がかりに、第一次世界大戦前のオーストリア建築の動きについて書いてみたいなぁ、などと思っています。