【学部3年生向け】ビジネスライクな設計課題への取り組み~複数プロジェクト並行編~

建築学生が設計課題に取り組むにあたって、ビジネスに効く考え方を導入してみようというシリーズ第2弾。

今回はプロジェクトを同時並行で複数手掛けてみよう、という提案です。

 

どんな企業でもメインの事業1本では立ち行かなくなる

世の中の多くの企業は、メインで稼いでくれる事業のほかに、そこから派生した商品やサービスの販売、ノウハウの伝達や将来を見据えた投資的事業など、複数の事業を動かすことでリスクに備えています。

町のお豆腐屋さんも、商店街が寂れてしまってはお客さんが来なくなってしまいます。

そのために宅配やスーパーへの卸しも行う、あるいは副産物としての豆乳やおからといった商品開発も行うなど、豆腐の製造販売だけではないルートも確保しておき、環境に左右されずに生き残る術を用意しておくのです。

建築学科の意匠コースに進んだからといって、必ずしも設計実務に関わるわけではないでしょう。

自分が生涯やりたいことを見つける、あるいは自分の得意不得意を自覚し、得意を生かした仕事に就きたいのか、それとも不得意をできるだけ避けた生き方をしたいのかを考えることも、学生時代に必要なジャッジのひとつ。

建築の設計自体が、いつまで魅力的であるかも不確かな時代です。

学生のうちにできるリスク回避は積極的に行っていきましょう。

 

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君は設計課題のほかにどんなプロジェクトを実施しているか

大学の設計課題のほかに、自覚していなくても多くの学生はさまざまなプロジェクトに参加しています。

学外のコンペや設計事務所でのアルバイトなど、建築と直結することでなくても構いません。

サークル活動や日々の読書や友人とするボードゲーム、さらには毎日の料理や散歩だっていい。

自分はどんな時に楽しいと感じるか、どんな時にストレスを感じるか、それを知るだけでも十分です。

そのために、これは重要なプロジェクトなのだと思って取り組んでみることが大切。

毎日少しずつでも改善を試みる、なにかしらゴールを設定して取り組んでみる。

そうすると料理が楽しくなって、もっとこだわりたくなる、どうやったらもっとおいしいコーヒーを淹れられるようになるか、試行錯誤する。

毎月1つ、新しいボードゲームを買って、同期の友人と遊んでみる。

 

継続的に新しいチャレンジを試みながら、改善を繰り返すことができるものが良いでしょう。

それが高じて仕事とは別で取り組めるライフワークが見つかったり、将来の就職先として候補が増えることもあるでしょう。

もっと詳しい人に会ってみたい、と自らアポを取って見ず知らずの人に会いに行ってみる、なんてことができたらそれは十分立派な職能のひとつになりえます。

卒業設計のテーマが早い段階から定まってしまえば、学部4年の1年間をより充実させることもできると思います。

 

そうした副次的な効果もさることながら、最も重要なのは、目の前の設計課題との精神的な距離を保つことです。

大学入学まで、テストの点数でしか評価されてこなかった学生が、いきなり設計課題によって自分の考えたアイディアを評価される立場になる。

どのような評価を受けるにせよ、そのストレスは相当なものです。

人格を否定するような言葉を使う先生もいるかもしれません。

そうなった時に、設計課題で成果を出さないと自分は就職もできないし生きていくことができないんだと、追い込まれた状態で臨んでしまうと非常に危険です。

良くも悪くもひとつのプロジェクトでしかないんだ、と割り切ることによって、否定的な意見をもらってもプロジェクトを前進させるための助言だと客観的に受け止めることができるようになります。

たくさん抱えているプロジェクトの、どこからなにを学ぶのかが重要なのですから。

 

第一弾はこちら⇩

www.ronro.work