【目的別】建築学生はなにを発信するとよいのか?

先日、建築学生は学生時代から発信に力を入れてみよう、という記事を書きました。

ronro-bonapetit.hatenablog.com

 

実際にこの記事を読んで、noteアカウントを開設された方もいらっしゃるようです。

ライター冥利に尽きます。一緒に学んでいきましょう。

 

この記事では、発信することのメリットを書きました。

ではなにを発信するとよいのか、を考えてみたいと思います。

 

内容やツールは目的次第

言うまでもありませんね。

とにかくなにを目的に発信するのか、そこがあやふやだと期待通りの結果が得られず、中途半端に終ってしまう可能性が高いので、一度整理してみましょう。

僕自身が学部3年生だったころを思い出して、考えうる目的を洗い出してみます。

 

①建築の知識を深めたい

②建築について、自らの考え、表現にフィードバックがほしい

③発信を通じて近い考えをもった人とつながりたい

④既存の友人に、自分のことをより深く知ってほしい

⑤フォロワーを増やして有名になりたい

 

⑤を目的にする人に対しては、僕がお伝えできることもありませんし、ほかの有名インフルエンサーの方がたくさん書いているのでそちらを参考にしてください。

いまSNSアカウントを積極的に運用している方は、④を目的にされている人が多いのではないでしょうか。

それはそれで良いのかもしれませんが、ここでの目的とズレるので割愛します。

②は、なにも発信せずとも課題を通じて周りの先輩や先生方に直接聞いた方が効果的でしょう。

その上でもっと広く世に問いたい考えがあるのであれば、それなりのリーチ数を築くか適切な場を選んで発信するなど、戦略的な態度が必要になります。

③については発信を習慣化した先に、嫌でもついてくるものです。ご安心ください。

 

僕だったら、①を目的するでしょう。

知識を深めるのになぜ発信? インプットが先では? と思った方、ありがとうございます。

ここではその問いに答えつつ、実際にどのような運用をすると良さそうか、考えてみたいと思います。

 

建築の知識を深めるために最も手っ取り早いのは、古典と呼ばれる名著を読むことだと思います。

長く読み継がれている古典は時間による淘汰に打ち勝つだけの力をもった文章です。

また歴史的な評価が定まった建築について書かれているものを読むことで、多くの人がその建築について言及している文章を読むことができ、立体的に建築を理解していくことができます。

どのような社会的背景でどのような建築がつくられ、結果的にどのような効果を生み出したのか、現在どのように評価されているのか、それに対し自分はどう感じるのか。

そうやって知識を吸収し自分なりに検証を重ねていくと、自分だけの建築との向き合い方ができてきて、それがオリジナリティへとつながっていくのです。

 

問題なのは、こうした古い書籍は難解であったり長文であったり、とにかく読むのにエネルギーが必要である点。

いくら先生から「読め」と言われても、億劫でなかなか読む気になれないんですよね。

そのため読書会を催したり、授業で取り上げたり、なんとか学生に触れてもらいたいと工夫するわけです。

 

発信が先に立つと、無知を補完する動機ができる

日常的に発信するようになると、なにかをアウトプットする際に、不足する部分が見えてきます。

不足したまま公開してもよいけれど、自分の中で納得がいかなかったり、それを読んだ誰かから「言われなくてもわかってるよ」というツッコミが入ったり。

だったらせめていま抱えているモヤモヤだけでも解消してから世に出そう。

そうやって先人の知恵を借りる動機をつくっていくと良いのではないか、と。

 

であるならば、単に読んだ本の感想や内容の要約をまとめるのではなく、書くために本を読まざるを得ない状況に自らを追い込んでいく、というのはいかがでしょうか。

たとえばある建築家の設計した建物を見に行ってレポートを書く、するとそのためにはその建築家がなにを考えて設計したのか、知る必要がありますし、その建築家が建築の歴史をどのように捉え、自らの実践をどう位置づけていたのかを知りたくなるでしょう。

 

発信する媒体はブログでもnoteでも良いでしょうし、動画編集ができるならyoutube等を使用しても良いでしょう。

そこまでしてやりたくないよ、という方もいらっしゃるかもしれません。

けれどせっかく建築学科に入ったのなら、せめて好きな建築の1つでも良いのでその魅力をプレゼンできるようになってほしいなと思います。

毎年全国の建築学科から卒業する学生全員が、1人1つずつ熱く語れる建築があったら、建築の未来はもっと明るいと思いませんか?

騙されたと思ってぜひ一度、トライしてみてください。