【学部3年生向け】ビジネスライクな設計課題への取り組み~エスキースの記録編~

社会人になって仕事をし始めると、「この考え方学生時代に知っておきたかったなぁ~」と思うことがしばしばあります。

ビジネスの現場では、どのような業種や職種であっても普遍的に応用が効く仕事の進め方やコミュニケーションにおける鉄則など、さまざまな考え方が共有されています。

研修制度が充実している企業であれば、入社後1ヶ月ほどかけてみっちり新入社員に研修を行っていますし、実際の業務の中で先輩から新入社員に伝達する会社もあります。

伝え方は各社さまざまですが、そうしたノウハウを皆が共有することで、仕事を円滑に進められるわけですね。

 

設計課題もひとつのビジネスととらえてみる

ビジネスのノウハウは、結局どのように取り組んだらより成果がでるかをまとめたもの。

ビジネスの現場だけでなく、設計課題で成果を上げる上でも応用が効くに違いありません。

大学では建築のことは教えてもらえても、課題をどう進めたら良いかは誰も教えてくれない、という人も多いと思います。

そこで当ブログで何回かにわたって僕自身が「これを学生時代に知っておきたかった」と思うビジネスの考え方を書いていきたいと思います。

 

まずは明日から実践できる簡単なやつを

個人的にすべての学生に当てはまり、かつ最も改善すべきはタイムマネジメントではないかと思っています。

が、これは一朝一夕で成果が出せるものでもなく、さまざまな考え方を知る必要がありますので追ってまとめていきたいと思います。

今回はとてもシンプルかつ時間もかからない、明日から実践できるご提案です。

 

先生とのエスキースを、録音して文字起こししてみてはどうでしょうか?

 

シンプルすぎてがっかりしてしまった方、すみませんね。

設計課題をひとつのプロジェクトと考えたとき、個々のエスキースはビジネス現場では「定例会議」と置き換えられます。

プロジェクトの成功に対して、いまの方向性が間違っていないか、どのような打ち手を検討すべきか、といったことを確認する場所。

異なる点は、ビジネスにおいてはプロジェクトの責任や意思決定者が上司にあるのに対し、設計課題は課題に取り組んでいるあなた自身にあるという点くらいです。

ビジネスの会議では、議事録を作成・共有するのが鉄則です。

[議題][進捗共有][決定事項][実行施策][スケジュール][検討事項]

などを明記して、会議出席者で共有する。

それによって次回の定例会議までに、誰がなにをどこまで進めておく必要があるのかを確認するわけです。

議事録には後々振り返って確認ができるように、という役割もありますが、むしろ次に進む方向性を固めることの方が重要。

会議だけして、各々がメモを取っただけで進んでしまうと、思った以上に意思共有がうまく言っていなかったり、個々人が思う優先順位がバラバラだったりして落とし穴にハマってしまう。

それを避けるために、今日ここを確認しました、をシェアする。

言葉にすると、「いやそうじゃなかったよ」とツッコミが入ったりするので、その時点で意思確認ができ、その後が円滑になるわけです。

 

エスキースでもこれを作って「この点については良さそうという結論だった」「ここについてはもう一歩踏み込んで考えたほうが良い」「ここはリサーチが足りてないから再考」「事例としてはこれとこれをあたってみてはどうか」といったことを確認してみてはどうでしょうか。

先生と共有まではしなくとも、自分で記録に残すだけで次の検討事項を決めるには役立つはずです。

なぜ録音し文字起こしする必要があるかというと、学部3年生くらいだとまだ先生との間で共通言語ができていないから。

修士ともなれば、それなりにいろんな事例も知っているし、歴史のこともわかっているので必要ないと思いますが、3年生くらいだと先生の言ったことの半分くらいしか、その場では理解できないのではないかと思います。

文字起こしすることで、先生の発言で理解できなかったキーワードを検索して調べたり、なんとなくその場はスルーしちゃったけど「これってどういう意味だ?」という疑問点が明確になったりします。

記録に残すことで、周りの先輩に聞くことができたり、次回のエスキースで先生に「前回言われたこのことがわからなかったんですけど」と確認できたりしますからね。

自分の疑問に答えてくれなかったら、ほかの先生にエスキースをお願いしたって良いわけです。

 

それに、その後のプロセスを考えずにただエスキース時点での模型や図面を見て印象を語るだけの先生もいますので、そういう先生に「議事録作ったんで確認してください!」と投げかけてみると慌てて次からは真面目に臨もうと思ってくれるかもしれませんよ…