【建築学生のための就職相談】このまま建築業界に進んでいいのか?と一度でも思ったら読む本2選

就活戦線を勝ち抜くためのハウツー本、たくさん出ていますね。

エントリーシートの書き方や面接対策についてまとめたものや、建築関係の就活に特化してポートフォリオのまとめ方などについて書かれたものも。

こうした実際の戦いの場で有効になるツールとしてのハウツー本を手に取る前に、就職活動にどう向き合えばよいのか、考えるヒントとなる本をご紹介したいと思います。

 

なんのために就職するのか?

多くの就活生は、一度も会社に所属したことがないのではないかと思います。

なんとなく良い会社に入れればそれなりの給料をもらいながら安定した生活を得られるのではないかと思っている人。

やりたいことを明確にもっていて、「この会社なら」それが実現できるのだと強い動機をもっている人。

就活がうまくいかないと、大学を出てから生きていけないという危機感だけに突き動かされている人。

 

特に最近は建築で面白いことができるのか、という不安を抱える人もいるでしょうし、建築家として独立したいと思って頑張ってきたけど、周りの優秀な学生を見渡して、とても自分はそんな器ではない、だけど普通にサラリーマンになるのも嫌だ、なんて人もいるでしょう。

建築を通して自分のやりたいことを実現するために、どれほどのステップを踏まなければいけないのだと途方に暮れる人もいるかもしれません。

そもそも行きたい会社に入れるのかどうか、不安を抱える学生に対し、終身雇用の崩壊だとか、年金受給年齢の引き上げだとか、安定した生活を送っていそうな会社員をも不安にさせるニュースが日々目に入ってきます。

 

そんな状況で落ち着いて就職先を選べという方が無茶ですよね。

そこでおすすめしたいのが、学生こそビジネス書、とくにキャリアについて書かれたものを読んでみるとよいのではということです。

 

ビジネス書というのは、普通に仕事をしていたらだれでもぶつかるような課題を乗り越えるために書かれた処方箋です。

長い人生においてどのようなキャリアを志向するのか、という問題は、第一志望で入社して安定的な生活を得たかのように見えるサラリーマンにこそついて回る問題。

現役の会社員が職場選びに悩んでいるのだ、そしてそれに対しどのような考え方が有効なのかを知ることは、これから就活に臨む学生にとってもヒントを与えてくれると思います。

特に学生というモラトリアム期間を終えて社会に出ることに対し、漠然とした不安を抱える人にとっては、自分の不安や違和感がどこにあるのかを明確にしてくれる効果があるのではないでしょうか。

おすすめは転職をキャリア形成の選択肢として肯定的に書いているものです。

 

北野唯我さんによる『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』は、自分という人間の市場価値や、働く会社の選び方といった考え方をわかりやすく、物語り仕立てで書かれた本です。

主人公は、「このまま今の会社にいるのはマズい」と考え転職エージェントに就活の相談をする会社員。

ここで長期的に市場価値を高めていくための会社選びや、業種や職種を選ぶ際の自己分析についてなど、効果的な転職を成功させるための考え方を叩き込まれます。

どういう時に自分は喜びを感じるのか、将来どのような人間になりたいからいまどのようなスキルを得る必要があるのかなど、新卒で入社する際の会社選びにおいても大いに参考になる考え方が書かれています。

年収はその人の能力や会社の成績よりも成長業界であるかの方が重要、やりたいとなりたいを混同することの危険性など、建築でいいのか?と思っている人にはぜひ読んでほしい内容です。

 

もうひとつ、山口周さんの『仕事選びのアートとサイエンス~不確実な時代の天職探し』では、幸福な仕事=天職に就くための考え方が書かれています。

 終身雇用、年功序列が当たり前だった時代が終わり、未来が「不確実な時代」といわれる現代において、キャリアの問題とどのように向き合えばよいのか。

冒頭に、転職にまつわるある数字が紹介されています。

それは転職後に給与が当たるのは全体の25%に過ぎない、という厚生労働省の出している数字。

ここで著者は、「これを根拠に転職を悪と決めつける人が多いがそれは間違っている」と、転職を肯定する立場から持論を展開していきます。

自身の体験も交えながら、転職のハードルと思われてきたさまざまな課題への対処法を紹介しながら、天職へ至る道を示している。

新卒で入社する会社でどのようなスキルを身につけ、転職も当然あり得る選択肢としてもっておく、その戦略を知っているだけでも、最初の会社を選ぶ心理的ハードルがぐんと下がるように思います。

 

どちらも2時間ほどでサクッと読めて、社会人になってからも役に立つ良書ですので、ぜひ手にとってみてください!